彼は弧を描いたような枝を拾った。
枝をしならせてみる。
すると周囲を見渡し、山の中へ。
しばらくして戻ってきた彼の手には、長いつる。
葉を取り除き、枝の両端に結びつけると……
弓の完成!
いや、まだ完成じゃない。
矢を飛ばしてみないとね。
彼の眼はすでに「矢にちょうどいい枝を探す眼」になっている。
地面を隈なく探し、ようやくまっすぐな枝を発見。
枝をつるに引っかけ、ぐっと引いて——
ビュン!
見事に飛んだ。
弧を描いた枝。
つる。
まっすぐな枝。
三位一体の弓矢が完成だ!
ーーーーー
彼はいとも簡単に、
山にあるもので弓矢を作って飛ばしました。
成功の理由は何だったのでしょう?
弧を描いた枝を見て「弓になりそうだ」とひらめく。
つるを見て「弦になる」と気づく。
落ちている枝から「矢に使えそうだ」と思いつく。
そこには、幼い頃から里山で培った観察眼がありました。
どんな枝がしなるのか。
どんなつるが伸び縮みするのか。
つる植物はどこに生えているのか。
知識としてよりも、 長年の経験を通して「体が知っている」のです。
そして、その経験によって育まれた「探し出す眼」があります。
彼は、自分が持っている知識や経験と、森にある素材を結びつけました。
ただの枝。 ただのつる。
それらは組み合わさることで、
「弓矢」という新しい価値を持つものへと変わります。
すでにあるものから役立つ要素を見つけ出し、
組み合わせ、 活用し、 新しい意味を持たせていく。
里山で培われた
「新しい価値を生み出すチカラ」は、
複雑で予測不可能な時代に、
自分の未来を切り拓く原動力になります。




